フロン点検資格とは

フロン点検資格は、業務用の第一種特定製品（冷凍空調機器）の簡易点検および定期点検を実施するために必要な公的資格です。この資格は、フロン排出抑制法に基づいて設けられ、機器からのフロン類の漏えいを防止し、適切な管理を行うことを目的としています。資格取得者は、機器の運転状況の確認、外観点検、漏えい検査などの業務を行う権限が与えられます。

 

【具体例】
たとえば、スーパーマーケットの店長がフロン点検資格を取得することで、店舗内の業務用冷蔵ショーケースの簡易点検を自ら実施できるようになります。

 

2. フロン点検資格の種類と必要要件
フロン点検資格は、主に第一種フロン類充填回収業者、一定の資格者、十分な知見を有する者の3つに分類されます。第一種フロン類充填回収業者は都道府県知事の登録が必要で、定期点検まで実施可能です。一定の資格者には冷媒フロン類取扱技術者や高圧ガス製造保安責任者などが含まれ、それぞれの資格に応じた点検範囲が定められています。

 

【具体例】
例えば、ビル管理会社の設備担当者が第一種冷媒フロン類取扱技術者の資格を取得することで、7.5kW以上の業務用エアコンの定期点検を実施することができます。

 

3. フロン点検資格の取得方法と費用
フロン排出抑制法で定められた第一種フロン類充填回収業者登録を取得するためには、まず都道府県知事の登録を受ける必要があります。登録申請には「第一種フロン類充填回収業者登録申請書」の提出と、技術管理者の設置が求められます。技術管理者になるためには、環境省や関連団体が実施する「第一種フロン類充填回収技術者講習」を受講し、修了試験に合格する必要があります。講習は座学と実技で構成され、1日から2日間のカリキュラムで実施されます。費用は講習会によって異なりますが、一般的に3万円から5万円程度です。登録申請料は都道府県によって異なり、おおよそ5万円から8万円程度となっています。

 

具体例：
・日本冷媒・環境保全機構（JRECO）の講習：受講料33,000円（税込）、テキスト代4,400円（税込）
・高圧ガス保安協会の講習：受講料38,500円（税込）、テキスト代込み
・東京都の登録申請料：74,000円

 

フロン排出抑制法の規制強化により、フロン類の管理が厳格化される中、有資格者の需要は今後も高まることが予想されます。第一種フロン類充填回収業者の資格取得は、環境保護への貢献だけでなく、ビジネスチャンスの拡大にもつながります。技術者不足が指摘される現状では、資格保有者の求人ニーズも高く、キャリアアップの有効な手段として注目されています。フロン類の適切な管理と処理は、地球温暖化防止の観点からも重要な課題であり、資格取得を検討する際は、単なる法令遵守だけでなく、環境保全への意識も大切です。資格取得後も、定期的な講習や最新の技術情報のアップデートを通じて、専門性を維持・向上させることが推奨されます。

 

エアコンフロン点検